授業の概要と目的(何を学ぶか)
中国や台湾、韓国などアジアの人々の対日イメージと、日本人自身が抱く自己イメージとの間には大きな違いがあり、良好な近隣関係を築く上での障害となっている。
この授業では「アジアから見た日本」をテーマに、これらの国や地域と日本との政治的関係や文化的交流の歴史を学ぶとともに、これらの国や地域の人々の対日イメージに大きな影響を与えた事件や人物が、学校教育や映画、テレビを通して、どのように語り伝えられているかを学ぶ。
授業の進め方
春学期は、本演習の研究サイトである「日中交流の史跡と文化」の過去の成果を参照しながら、関連する書籍や論文を紹介し、それを基に新たな共同研究を行う。
秋学期は、木宮正史『日韓関係史』の輪読発表を行いながら、良好な関係と険悪な関係を繰り返す今日の日韓関係が、戦後いかにして形成されたのかを学ぶ。
課題や発表に対するフィードバックの方法としては、受講生全員が参加する LINE のグループを用意し、これを通じて全員または個別にフィードバックを行う。
到達目標
中国や台湾、韓国などアジアの人々の対日イメージがどのように形成されたかを理解し、日本とこれらの国や地域の双方の視点から問題を考える力(「共感力」empathy)を養い、国際社会人として円滑な異文化間コミュニケーションを行う力を身につける。
テキスト
- 春学期‥研究サイト「日中交流の史跡と文化」
- 秋学期‥木宮正史『日韓関係史』(岩波文庫 2021年)
参考資料
- CiNii Research
共同研究での書籍や論文の調査には、CiNiiを利用する。CiNiiは、国立情報学研究所(NII)が運営する、論文、図書・雑誌や博士論文などの学術情報が検索できるデータベース・サービス
- 国立国会図書館デジタルコレクション
共同研究での書籍や論文の調査には、国立国会図書館デジタルコレクションも利用する。資料には、①ログインなしで閲覧可能なもの、②送信サービスで閲覧可能なもの、③国立国会図書館内限定のものの3種がある。①、②はインターネットを通じて自宅でも閲覧できるので、連休明けまでに下記のページで利用者登録を行っておくこと。
![]() |
春学期
回 | 月日 | 内容 | 新聞 | 輪読 |
1 | 4/11 | ガイダンス 年間計画の設定・担当の割り当て・夏合宿準備 ゼミ懇親会 |
||
2 | 18 | はじめに 朱舜水が残した友好の遺産 【コラム】小石川後楽園 春のフィールドワーク(小石川後楽園) |
||
3 | 25 | 縄文・弥生時代(前14000年~後3世紀) 第1回 わたしの祖先は縄文人? 【コラム】日本人の起源に関する三重構造説 【コラム】現代に姿を現した古墳人 第2回 金印はホンモノ? 【コラム】壱岐島原の辻遺跡と「貨泉」 共同研究(第1回) |
||
5/2 | レクリエーションデー休講 | |||
4 | 9 | 古墳時代(3世紀中~592) 第3回 邪馬台国と卑弥呼の時代 【コラム】卑弥呼と神功皇后 第4回 漢字がやってきた 【コラム】金錯銘鉄剣と中国系渡来人 共同研究(第2回) |
||
5 | 16 | 飛鳥時代(592-710) 第5回 隋の煬帝はなぜ怒ったのか? 【コラム】仏教伝来を伝える遺跡群―雷丘東方遺跡(小墾田宮推定地)と向原寺(豊浦寺跡地) 第6回 民の心を知るために 【コラム】日本の万里の長城「水城」 第7回 倭から日本へ 【コラム】天武・持統天皇陵(檜隅大内陵) |
||
6 | 23 | 奈良・平安時代(710-1185) 第8回 坂上田村麻呂と諸葛孔明 【コラム】阿弖流爲と母禮の顕彰碑と音羽の滝 第9回 「工匠精神」 第10回 かなの誕生 【コラム】漢字からひらがなへ――奈良薬師寺「仏足跡歌碑」 共同研究(第3回) |
||
7 | 30 | 鎌倉・室町・安土桃山時代(1185-1603) 第11回 渡来僧から歯医者まで~民間交流の時代へ 【コラム】陳和卿とと河内の鋳物師たち 第12回 海を渡った画家~雪舟 【コラム】雪舟が中国留学で得たものとは? 第13回 倭寇と秀吉の朝鮮出兵 【コラム】耳塚に葬られた明の兵士たち 共同研究(第4回) |
||
8 | 6/6 | 夏のフィールドワーク(国立国会図書館) | ||
9 | 13 | 江戸時代(1603~1868)(上) 第14回 東アジアの平和の礎となった思想―儒教 第15回 唐通事 【コラム】唐人屋敷と興福寺・長崎新地中華街 第16回 科学技術を伝える~『農政全書』と『天工開物』 【コラム】和砂糖問屋の石灯籠 共同研究(第5回) |
||
10 | 20 | 江戸時代(1603~1868)(下) 第17回 江戸時代の中国語ブーム 【コラム】バイリンガル狂言 【コラム】浮世草子『世間学者気質』と黄檗山萬福寺 第18回 島津重豪と琉球王国 【コラム】福州市と那覇市の交流 共同研究(第6回) |
||
11 | 27 | 近代(1868~1945) 第19回 中国の初代最高法院院長になった清国留学生 【コラム】Yellow Peril(黄禍論) 第20回 殷王朝の実在を証明した日中の研究者 【コラム】東洋文庫と書道博物館 第21回 映画による戦時下の文化交流 【コラム】鎌倉市川喜多映画記念館 共同研究(第7回) |
||
12 | 7/4 | 現代(1945~現在) 第22回 憎しみの連鎖を断つために 【コラム】中国帰還者連絡会の結成 第23回 誤訳を越えた友好 共同研究(第8回) |
|
|
13 | 11 | 共同研究中間発表準備 | 全 | |
14 | 18 | 共同研究中間発表 夏合宿準備 |
全 |
夏合宿
月日 | 内容 | 場所 |
夏合宿プランA(群馬) | 目的:古墳時代の遺跡をたずねる 榛名山 保渡田八幡塚古墳 かみつけの里博物館 宿泊:旅館ふくぜん (ゼミでの契約宿舎利用における宿泊料補助) |
|
夏合宿プランB(奈良) | 目的:古墳~飛鳥時代の遺跡をたずねる 箸墓古墳 奈良文化財研究所飛鳥博物館 宿泊:奈良ユースホステル |
秋学期
回 | 月日 | 内容 | 輪読 |
1 | 9/19 | 輪読発表 序章 日韓関係の現状とそのダイナミズム(pp.1-8) 学会発表準備(第1回) |
1 全班 |
2 | 26 | 輪読発表 第一章 日韓関係の「前史」(pp.9-32) 学会発表準備(第2回) |
1 |
3 | 10/3 | 輪読発表 第二章 冷戦下における日韓関係の「誕生」(第一~二節)(pp.33-52) 学会発表準備(第3回) |
2 |
4 | 10 | 輪読発表 第二章 冷戦下における日韓関係の「誕生」(第三~五節)(pp.53-76) 学会発表準備(第4回) |
|
5 | 17 | 輪読発表 第三章 冷戦の変容と非対称的で相互補完的な日韓関係(第一~二節)(pp.77-95) 学会発表準備(第5回) |
3 |
6 | 24 | 輪読発表 第三章 冷戦の変容と非対称的で相互補完的な日韓関係(第三~五節)(pp.96-126) 学会発表準備(第6回) |
4 |
31 | 大学祭による休講 | ||
7 | 11/7 | 秋のフィールドワーク | |
8 | 14 | 学会発表準備(第7回) | 1 |
9 | 21 | 学会発表準備(第8回) | 2 |
10 | 28 | 学会発表予行演習 | |
11 | 12/5 | 輪読発表 第四章 冷戦の終焉と対称的な日韓関係の到来(第一~三節 pp.127-153) |
3 |
12 | 12 | 輪読発表 第四章 冷戦の終焉と対称的な日韓関係の到来(第四~五節 pp.154-180) |
4 |
13 | 19 | 輪読発表 第五章 対称的で相互競争的な日韓関係へ(pp.181-214) 終章 日韓の「善意の競争」は可能か?(pp.215-220, 241-244) |
1,2,3,4 |
14 | 1/9 | 冬のフィールドワーク |
演習メンバー
学年 | 学生番号 | 氏名(50音順) | SA・SJ先 |
4年 |
22g1209 | 小高 楓奈 | イギリス(シェフィールド大学) |
22g0907 | 小林 文伽 | カナダ(ヨーク大学) | |
22g0509 | 島村 海奈 | 中国(上海外国語大学) | |
22g0511 | 武内 日向子 | 中国(上海外国語大学) | |
22g1213 | 武田 明夏奈 | アメリカ(UCデイヴィス) | |
22g0716 | 野口 丈瑠 | カナダ(トレント大学) | |
22g0719 | 藤谷 羽流 | カナダ(ヨーク大学) | |
22g0018 | 増田 侑希子 | オーストラリア | |
22g0918 | 山中 康平 | カナダ(トレント大学) | |
22g0524 | 李 昂然 | 日本(長野県飯田市) | |
3年 |
班分け
1班 | ||||
2班 | ||||
3班 | ||||
4班 |
コメント